不眠症とは睡眠障害のことで、睡眠障害には96種類もの種類があると言われています。
不眠症は増加傾向にあり、今や成人の5人に1人が不眠症に悩んでおり、睡眠薬服用者は20人に1人と言われています。
そこで、不眠症の原因について解説し、不眠症のタイプ別の対策法をご紹介します。
是非、不眠症でお悩みの方は参考にして下さい。
不眠症について
寝るための治療薬として用いられている睡眠薬ではありますが、全ての方に効くわけでもなく、量が増える方や服用期間が長くなる方など様々です。
つまりは、睡眠薬が万能というわけでもなく、服用期間が長くなる、量が増えるということ自体が体に良くないことを理解しておきましょう。
不眠症の症状としては、以下があります。
・寝られない、寝付きが悪い
・睡眠中2回以上目が覚めて、再び寝られない
・必要もないのに早起きしてしまう
・寝た気がしない
・日中の眠気がひどい
・日中、どこででも寝てしまう
これらの症状が継続することが、不眠症の特徴です。
不眠症の種類について
不眠症には主に4種類あり、以下タイプ別に説明したいと思います。
1.入眠困難
30分以上寝られない、寝付きが悪い
2.中途覚醒
何度も目が覚め、寝られない状態がある
3.早朝覚醒
必要以上に早く目が覚めてしまう
4.睡眠困難
寝た気がしない、熟睡感がない
これらの症状が毎日続けば仕事がある方はしんどくなりますし、日中に常に眠気に襲われれば日常生活にも仕事にも支障をきたします。
不眠症の方の多くは、「寝る」ということ自体に恐怖を覚えていますし、「寝なければならない」という強迫観念も抱いているようです。
不眠症の原因について
不眠症の原因には幾つかがあります。
以下簡単に説明します。
1.生活習慣の乱れ
「生理学的要因」であり、あらゆる病気症候群の原因とも言われています。
生活が不規則になっているため、体内時計が狂ってしまっている状態です。
2.持病によるもの
「身体的要因」であり、体に痛みがある方、アトピーなどによって皮膚のかゆみや、咳などの喘息症状がある方です。
身体的要因のせいで不眠になっている場合、原因となっている持病の治療が必要です。
3.ストレスや興奮状態
「心理的要因」と呼ばれるもので、常にストレスを抱えている方に多くあります。
その他、明日や未来のことを考えるあまり、興奮状態にあるため十分な睡眠を得ることができなくなっています。
4.アルコールやニコチン、薬物の摂取によるもの
適度な寝酒(1杯のワインなど)は不眠症以外の方には良いものです。
しかし、不眠症と診断されている方の場合、寝酒は眠りを浅くしてしまうため良くありません。
また、就寝前の喫煙は良くないことが分かっています。
薬物摂取では、睡眠障害の副作用がある可能性がありますし、興奮させるような薬物を摂取すれば寝ることができなくなります。
不眠症を解消させたい場合は、正しく原因を知ることと、それをできるだけ取り除いていく対策が必要かつ重要となってきます。
不眠症が続くことの弊害
では、社会人が不眠症になるとどのような弊害が起こるんでしょうか。
不眠症によるその弊害は以下になります。
仕事や子育てをしている世代だと、かなり辛い状況を強いられることがわかるかと思います。
身体が毎日しんどくなる
仕事も子育てもしんどくなり、周囲にも迷惑をかけてしまうことになります。
子育て中の場合、予期せぬ事故に繋がりかねませんし、運転中や日常生活においてのトラブルを招く可能性が出てきます。
集中力の欠如
寝ていないことによって、集中力が低下してしまいます。
仕事においてもはかどらなくなり効率の良い判断ができなくなります。
常にイライラしてしまう
情緒が不安定になりますので、イライラ感が出てしまいます。
社会生活にも支障をきたしてしまい人付き合いにも支障がでるようになります。
常に「寝てない」という意識を持ってしまう
「不眠」「寝てない」という気持ちが優先されてしまい、周囲のことが見えなくなってしまいます。
常に疲労感に襲われている
疲れているという気持ちに支配され、やる気も楽しみもなくなってしまいます。
などなどです。
不眠症を放置したらどんなリスクを伴うかがわかっていただけたと思います。
ちなみに不眠症を放置して頑張り続けた結果、うつ病や躁うつ病を発症してしまうこともあり、仕事や家事ができないという事態を招いてしまうこともあります。
これらの症状で起きうる共通点は「気分の落ち込み」となり、精神疾患を招きかねないということなのです。
満足感がえられる睡眠はどうすればよいのか?
不眠症の多くの方は「自分のことしか見えてない」というのが特徴です。
既に身体の異常を感じているはずですし、常に睡魔に襲われたり、社会生活にも支障をきたしているという自覚症状があるはずです。
実際、日常上生活や社会生活がうまく行っていない事実があるならば、まずは何が原因なのか、どのような対策を取ればいいのか、どうすれば解消できるのかを考えることが大切です。
とは言え、自分のことしか見えてないない状況でそれを見出すことが難しい場合もあります。
もし対策法がわからない場合は、素直に専門機関を受診することをおすすめします。
医療機関で行われている治療とは
医療機関で不眠症対策の指導を受けることができます。
以下にてご紹介します。
不眠症対策の指導について
定期的な運動で眠りを誘う
運動をすることによって寝付きを良くする方法です。
寝室の環境を変える
防音・光対策を行い、室温と湿度の環境を整え就寝しやすい状態に持っていきます。
飲食に対する注意
お茶やコーヒーなどカフェイン摂取は終身4時間前までとします。
就寝前の水分は取りすぎを控え、アルコールとニコチンの摂取を控えます。
食事は空腹を避けて、就寝する時間帯を考えて食事を摂るようにした上で、脂っこいものは控えるようにします。
考え事は「明日」と決めること
心配事や翌日の仕事のことを考えていては、不眠症の方以外でも寝付きが悪くなってしまうものです。
寝なければならないというプレッシャーを持たないこと
プレッシャーを持つということは、考え事をすることと同じ状態になってしまいます。
それによって、体に力が入った状態(交感神経が優位に働きリラックスできる副交感神経に傾かないため)になりますので、余計に眠られなくなってしまうのです。
不眠症の治療法をご紹介
さて、次は不眠症の治療法を紹介したいと思います。
カウンセリングによる「認知行動療法」
うつ病患者にも用いられている治療法です。
しっかりと指導を受けた場合、8割の方が不眠症を改善されています。
リラクゼーション
「筋弛緩法」と呼ばれ、体の筋肉を意識的にリラックスさせる方法です。
この方法はしっかりとした指導を受けることで、あなた自身がご自宅でできる方法です。
これを行うことによって自律神経の乱れが解消され、入眠することが可能となっています。
寝室の使い方を学ぶ
寝室は「寝るところ」という意識を頭に入れる方法です。
その為、寝室は寝る以外のことで使うことをせず、寝られなければ寝室から出るということを頭に認知させるのです。
寝られなければ寝室から出ましょう
寝室にいる時間を決め、寝られなければ寝室から出ましょうという方法です。
これは生活リズムを整えるようにするためと、寝られないのに寝室に居てはいけない、寝るための寝室であることを意識させるものとなります。
睡眠日記をつける
その他の治療法に「睡眠日記をつける」というものがあります。
これは客観的に睡眠量が見られるという利点があります。
何時に寝て何時に起きたかという記録とともに、日中のことも記載できるため、「眠ることができていたのか」が把握できる画期的な方法です。
この方法は専門機関を受診して無くてもできる方法ですので、「寝ていない感」を感じている方はやってみると良いでしょう。
タイプ別の不眠対策方法
不眠の原因が把握でき、タイプ毎の対策方法で解消できたらどんなに素晴らしいことでしょう。
ここでは、タイプ別の不眠対策について考えてみたいと思います。
1.入眠困難
あなたがもしも寝入るまでに時間がかかるというのなら、冷え性が原因の1つかもしれません。
足先が冷えて眠れないなど冷え性の可能性がある場合は、体を温める食事と飲み物を常日頃摂取するようにして下さい。
冷え性は体を外から暖めるだけでは改善できませんので、内側から対策を講じる必要があります。
最初はゴムが緩めの靴下をはいて寝てもいいですし、生姜・柚湯を取り入れる、菊芋茶を取り入れるなど、体がポカポカする飲み物を常に飲むようにしましょう。
2.中途覚醒
夜中に何度も起きて目が覚めるのなら、その時間は寝室から出て好きなことをしましょう。
考え事せずにできることをやって見て下さい。
眠くなれば寝室に戻って寝るようにしましょう。
温かいミルクを飲みながら、リラックスできる音楽を聴くのもオススメです。
3.早朝覚醒
中途覚醒と同じように、目が覚めた時は寝室から出て好きなことをしましょう。
朝起きなければならない時間まで起きている可能性があります。
しかし、「眠ることができなかった」という気持ちを持たないようにして、今日は「こんなことができた」という達成感を持つように心がけましょう。
眠ることができなかったという罪悪感は一切持たないことがポイントです。
4.睡眠困難
「寝た気がしない」「日中身体がしんどい」、「居眠り運転をしてしまう」という場合、専門機関を受診して下さい。
理由としては、単純に「不眠症」ではなく、睡眠時無呼吸症候群や他の病気の可能性があるからです。
不眠対策のご法度とは
不眠症になっている方の多くは、「思い込み」や、あなたの生活習慣が間違えている可能性があります。
人が何故眠るのかというと一日の疲れを回復させるためですが、それによって心身ともに元気な身体にできることが分かっています。
昔は日が昇れば起きて仕事をし、日が沈めば寝ていた時代です。
しかし、世の中が24時間稼働している現代では、昔のような生活ができないのも事実です。
とは言え、不眠症になっていることの原因を取り除く対処はできますし、あなたの思い込みを改善させることは可能なのです。
では以下に、就寝前の忌避、つまりご法度となっていることを紹介します。
寝る時間前のテレビやスマホなど
就寝前に、テレビ、映画鑑賞、スマホ、パソコン操作、熱を上げるようなマンガや読書などをはご法度です。
日常活動的に動くための交感神経が優位に働くため、興奮状態が続きすんなり寝ることができません。
お酒
お酒は眠りやすいのも事実ですが、その効果は持続せず、浅い眠りとなり寝不足を感じさせるものなのです。
就寝前のタバコ
タバコは交感神経が優位に働きますので、就寝前2時間までに控えましょう。
その他
他には、寝具と部屋の色があります。
寝具は安眠できるようなものを選び、寝室の照明はオレンジ色にする、カーテンを落ち着いた色にするなど工夫するようにして下さい。
鎮静作用がある色としては、青、茶色などがあります。
その他には緑のアースカラーなどがありますが、これらの共通点は「自然の色」となります。
不眠症の対策方法についてのまとめ
不眠症になっている方の多くは、家族や周囲のことが見えていません。
現れている症状はご自身でなければ分かりませんし、どれほど苦痛なのかは本人でしか分からないからです。
ただ言えることは、「不眠症は心の持ちようで良くなる」ということです。
それには本人はもちろん、家族の協力も必要です。
「不眠症と言いながら、結構寝ているんじゃない?」という家族の声よりも、不眠手帳を本人に付けさせることや、家族が協力して付けてあげることで「案外寝ているものね」と本人に納得させることができるのです。
また、考え事によって不眠症を感じている場合、「今晩考えても何の解決にもならない」と自覚する・させることができれば、すんなり寝ることができることもあります。
不眠症になっている方が解決しきれないのなら、家族の助けも必要ですし、安心させてあげることで不眠症を改善することだって可能なのです。
不眠だと思っている方の多くが体の不調を訴えていますし、本人はそれで悩んでいます。
「きちんと寝てるんだよ」ということを本人に自覚させることが一番なのです。
ちなみに睡眠時間の量は人それぞれですし、年令によっても異なってきます。
肝心なのは、自律神経を乱さないことですので、休む時間は何も考えない、仕事で寝不足な方は休日に余分に寝るということも大切です。
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